ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

俺の名は。

 

バイトに入って数週間。

京都出身の演劇フリーターのヒロセに、
俺が以前、役者をやっていたと
知られてから数日間は、変にかしこまられ、
事務所を紹介してくれとせがまれていた。

「オノさん! 俺、竹内涼真と同じ事務所で
 いいです! お願いします!」

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はっ? それたしかホリプロじゃん・・・。
どんだけ高望みだよ! ムリ!
ていうか、俺そんなコネクション持ってないし。

「いや、俺役者やってたって言っても、
 ただの小劇団の一役者だから。
 一人も有名人と共演したことないし」
「は? そうなん?」

俺に媚びる必要がないと知ったヒロセの
切り替えは早く、もとの関西弁のタメ口へと
一瞬で戻った。

「そういや、オノちゃんは、下の名前なに?」
「平一・・・」
「ヘイイチ? 呼びづらっ!」
「いや、オノさんでいいよ」
「いやいやいや。俺、敬語きらいやん?
 壁失くしたいやん。う~ん・・・どないしよ」

ヒロセは腕を組み、
俺の方をジロジロ見ながら唸っている。

うわー・・・めちゃめちゃ考えてるし。
いいのに、そんなの。

「せや!!!」
ヒロセは、ひときわ大きい声で言った。

「へいいち改め、ぺらいち!!!」
「はぁ?」
「ええやん! 体型もペラッペラやし!」

うわ・・・俺の一番気にしてるところを。
嫌だ、そんなあだ名・・・、絶対に嫌だ!

「アカンわ・・・、ピッタリやん」
ヒロセは自分で言ったことに
腹を抱えて笑っている。

こいつ・・・。


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しかし、ヒロセは俺のことなど眼中になく、
腹を抱えながら他の大学生の方に走っていく。

「なぁーーーー! みんな聞いて聞いて!!
 オノっちのあだ名! ぺらいち!
 ぺーーらーーーいーーーち!!!」
「あ、おいちょっと!」

そんな大声で・・・、くそぉ~。

「え? なになに?」
ヒロセの大声を聞きつけて、バイトの
大学生たちがぞろぞろと集まってくる。

「ぺらいち?」

うわー、女子学生も来たよ・・・。
あー、もうダメだ。俺のバイト生活終わったわ。
これから大学生に「ペラペラ」とバカにされて
過ごさなきゃいけないなんて・・・。

「えーーー! ぺらいちだって~~!!
 なんか、かわいくない?」

え?

「うん! なんか呼びやすい! ぺらいちさんって」
「めっちゃかわいい!!!」

ほ、ほんとにぃ~?

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「せやろ! じゃ、ぺらいちで決定で!!」


し、しまった・・・。