ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

俺がいきましょう!

 

ホールのバイト大学生が、
よりにもよって、見るからに
怖そうなゴツイお客さんに、
味噌汁をぶっかけてしまった。

お客さんはかなり怒っており、
すぐさま店長が対応する。

まずは汚れた服をきれいに
しなければならないが、
これから東京ドームでのライブを
見に行くというので、
クリーニング屋に出している
時間はない。

そこで店長は、とりあえず水洗いをし、
ウォーマーにぶち込んで、
なんとか乾かした。

そして・・・

「ちょっと誰か!
 俺がお客さんに謝ってるとこに、
 ハァハァ言いながら
『お待たせしましたー!』って、
 この服持ってきて」

なんとかお客さんの気持ちを静める
ために、さも大急ぎでクリーニングに
出してきたかのような演出をするという。

しかし、
相手が怖そうなお客さんだけに、
誰も行きたがらない。

下手に演技だとバレでもしたら
大変なことになるし、
火に油を注ぐことになりかねない。

皆が下を向く中、いつもうるさく
テンションが高いヒロセが
名乗りを上げた。

「俺がいきましょう!」

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普段、演劇活動をしているためか、
いかにも自信ありげで頼もしい。

走りだす位置、持ってくるタイミング、
息が上がる演技なども確認している。

みんなの期待と不安の目で見守る中、
ヒロセが店の裏口からスタートした。

しかし、いざお客さんを前にして
怖気づいたのか、いつも大声の
ヒロセは、ほとんど聞こえない声で

「お待たせしましたっ」

と言い、謝っている店長の後方に
隠れるように止まった。
そして、静かに店長に服を手渡す。

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えーーー!? おい、ヒロセ。
お前の持っていった意味は?
さっきの予行演習は!?

結局、ヒロセの演技は
お客さんに気づかれもせず、
料理のお代をタダにするということで、
お客さんは納得し、帰っていった。