ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

流行りの細菌

 

「店長さんいる?」

昼のピークが過ぎ、休憩しようか
というときに、紫色に髪を染めた
白衣のおじいさんが店に入ってきた。

バイト先は飲食店なので、
定期的に外部の「監査」が入り、
抜き打ちで店内の衛生面を
チェックされる。

ちょうど、店長が会議に店を出た後
だったため、俺が対応することに。

店長がいない間に、
何かあってはならない。
しかし、いかんせん抜き打ちなので、
アラ探しをされたらひとたまりもない。
なんとかごまかさないと・・・。

 

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俺は、監査のおじいさんに
ずっと付き添い、おじいさんの話を
聞きながら、店内を案内していく。

「食中毒にも色々あってねぇ~」
「あ、はい」
カンピロバクターが、
 最近、流行りの細菌だねぇ~」
「へぇ~」
「・・・・」

おじいさんは、俺の反応を
ニヤニヤしながらじっと見ている。

最近の細菌・・・

え?もしかしてダジャレ?
わ、分かりにくい上に、つまんね~。

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でも、なんとかこのおじいさんには、
気分良く帰ってもらわないと。

「・・・・・・あーー!! 
 最近と細菌をかけて。
 アハハハハ!!!」

おじいさんの表情も緩む。

「ま、そんな厳しくチェック
 しないから安心してよ」

よしよし。
愛想笑いバレてないバレてない。


「あ、ありがとうございます!」

まずは、手洗いチェック。
一応、俺は、手の甲、手の平、手首と、
いつもより念入りに洗っていく。
すると、おじいさんはバッグから
白い綿棒を取り出した。

「ま、ほとんど菌とか
 検出されないから、
 大丈夫~、大丈夫~」


そう言うと、俺の手全体に、
綿棒をまんべんなく
こすりつけていく。

「フンフーン♪」

おじいさんは、鼻歌交じりに、
綿棒を透明な袋にしまう。

手洗いチェックが終わり、
食品の賞味期限、店内の清掃など
衛生状況を確認すると、
おじいさんは帰っていった。

おじいさんもご機嫌で帰ったし、
結構チョロかったな・・・。

数日後、届いた監査の報告書を
見て、店長が固まっている。

「ちょっと、オノくん、
 なにこれ・・・」


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手洗いの欄に大きく✖印がある。

そして備考欄には、
黄色ブドウ球菌
という文字が・・・。

しかも、その横には
「従業員オノ」と、
しっかり書かれてある。

チョロいどころか、
俺の手からは、まんまと
菌が検出されていた。

甘かった・・・。