ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

ハマーンが来ない

f:id:peraichikun:20181025004735j:plain f:id:peraichikun:20181025004750j:plain



「あいつ!なんで来ねえんだよ!!!」

朝から店長が怒りMAXだ。
糖尿病を患っている派遣社員ハマーン
月曜から2日間出勤していないらしい。
月曜、火曜と「病院に行く」と
電話してきたらしいが
3日目の今日はついに連絡もつかない。

「クソっ!しょうがねぇな~」

店長は、仕方なく
ピンチヒッターの
職人タカさんに連絡する。
タカさんは腰の曲がったお爺さんで、
たまにしか出勤してこない。
今日も家で休もうとしていたようだが、
仕方なく来てくれた。

ハマーンが来ないんだって?」

「そうなんだよ。
 相当辛そうな声だったから
 家でぶっ倒れてんだろ、どうせ。ハハ」

しかし、タカさんは笑って一蹴する。

「ちがうよ。
 ボート(競艇)だよ。
今、愛知で
 『ボートレースダービー』っての
 やってるんだよ。」


確かにハマーン競艇場がある
平和島に住むほどの
競艇狂いということは、
みんなの知るところではある。

「まさか~。それはさすがにないでしょ」

「いや、月曜から来てないんでしょ?
 ダービー月曜からだもん」

「え~?・・・ちょっと調べてみて」

店長に言われ、調べてみると、
たしかに今週の月曜から
『ボートレースダービー』という、
競艇ファンにとっては外せない、
年に一度の一大イベントが
愛知で始まっている。
ハマーンが休みだした日程と
バッチリかぶっている。

f:id:peraichikun:20181026014349j:plain

これは・・・競艇行ったな・・・

「うん、絶対、来ないね」

タカさんは自信を持って言う。
人生経験の長いタカさんが言うと
なんだか信憑性がある。
そんな中、店長は一人反論する。

「いや、それはない!!
 もし今日来なかったら、
 もうクビだよ!クビ!!」

「じゃぁ賭けるかい?
 今日ハマーンが来るか来ないか」

タカさんは不敵な笑みを浮かべている
・・・

そして、いつの間にか、
タカさんと店長の間で、
ハマーンが今日
出勤してくるか、
出勤してこないかの
賭けが始まる。

「賭けって、何賭けんの?ジュース?」

「いや、それじゃつまんないから
 焼肉オゴリね。バイトの分も」

タカさんはノリノリだ。

「ヤッター!!!」

その場にいたバイトたちも、
焼肉をオゴッてもらえると聞いて、
店長を賭けから降ろさせない
ムードをつくる。

「店長は来る方でいいんですね?」

「え、おいおい・・・焼肉?!!」

店長はいきなり大きな金額になり
少し尻込みしているようだ・・・

f:id:peraichikun:20181026014445j:plain

「え、ちょっと待って。
 マジかよ。
焼肉って・・・。
 うーん・・・
 いや、今回は、ホントに
 辛そうな声だったから、
 あれは演技じゃないと
 思うんだよな~・・・」

みんなの『早く決めろ』という
視線が店長に注がれる。

「よ、よしっ。・・・来る!

 来いっ!ハマーン!バカヤロー!!!」

 


そして・・・
昼過ぎになり、
何も知らないハマーン
ひょっこり出勤してきた。

f:id:peraichikun:20181026014528j:plain

「店長、悪い!!
 スマホのバッテリーが切れてて・・・」

いつもならハマーンに対して
毒舌の店長も、賭けに勝ったからか、
心なしか優しい。

「お~ハマーン・・・!!
 大丈夫か?体?」

ハマーンが来ないことを
確信していたタカさんは
ビックリしている。

「おい、ハマーン!何で来たんだよ!
 競艇行ってたんだろ?」

「え・・・?い、い行ってないよ~」

あやしい・・・

結局、ハマーンが昨日、一昨日
競艇に行ってたのか、
真相は分からないが、
俺たちバイトからしたら
焼肉を食べれれば
どちらでも良かったのだった。

「タカさん、ゴチになりまーす!!!!」