ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

ヒロセ参戦!!!

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バイトを早上がりした午後6時、
スマホが鳴った。

「あ、オノ君、今日空いてる?」

先週、大家さんとカラオケに行ってから、
大家さんから着信が入ることが多くなった。
しかし、大体いつも
バイト中で電話には出られず・・・
バイトが終わるのは深夜になるので
折り返しもできなかった。

カラオケの練習か・・・

でも今日は、
ウイイレ2019」のアプリ(ゲーム)が
アップデートされたから
帰ってからゆっくりやろうと
思ってたのにな・・・

正直、めんどくさいなぁ・・・

そうだ!これを機に、
うまくヒロセに押し付けて・・・

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「あの~、バイト先に、
 俺より歌が上手いやつがいるんですよ!
 役者を目指してるヤツで。
 そいつ今日呼んでもいいですか?」

「そりゃ~賑やかになるね」

そう大家さんは、快諾してくれた。

ヒロセに連絡すると、

「ほんまにぃ?!!
 やったー!ほないくわ~」

と、即答・・・w

駅前のガストに、
チャリでスっ飛んで来た
ヒロセの第一声は
「腹減ったわ~」だったけど。

そしてガストでは、
ハンバーグ、パスタ、デザートと
案の定、全く遠慮することなく
オーダー。
しかし、
初対面の他人(俺)の大家さん
相手にも関わらず、
全く壁を作らず、相変わらずの
ハイテンションで接するのは流石・・・
大家さんも、コーヒーを飲みながら
ニコニコして聞いている。

「いやー、ごちそうさまですー!
せやけど大家さん、
歌うまなって、どないすんのですか?」

「うん、実はね・・・」

すると、それまでのニコニコ顔から、
急に真剣な表情で大家さんが話し出す。

「実は、毎年、
 地区の老人会が集まってカラオケ大会があってね」

「へ~!!せやから毎週練習してんねや」

「そう。まぁ私、
そんなに上手くないし、

歌うことが好きだから、
参加するだけで良かったんだけど・・・

やっぱり、死ぬまでに、
一度は入賞してみたいんだよ・・・」

「なるほど~」

大家さんに
そんな野望があったなんて・・・


カラオケに着くと、
すぐさま練習開始。
今日の練習曲は、
チューリップの「心の旅」
この曲は俺も知ってるぞ。

「♪あぁぁああ~
 だからあぁあ~~今夜だけはああ~」


うん・・・
相変わらずの下手さ加減・・・
だけど、
さっき、大家さんの
熱い気持ちを聞いたからか、
前の時よりも、気持ちが伝わってくる。

そして、大家さんは、
なぜか俺の顔をまじまじと
見つめながら、歌っていて、
なんだか恥ずかしい・・・

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すると、隣にいた
ヒロセがいきなり地声で、参戦。

「♪君を抱いていたいぃぃぃぃぃぃぃ~~~」

さすが、腹式呼吸で声はデカい・・・
でも、お前が歌ってどうする!!
俺がヒロセを止めようとすると、
大家さんがもう一つのマイクを
俺に差し出してくる。

え?俺にも歌えってこと?

うなずく大家さんから、
マイクを受け取り、俺も仕方なく参戦。

「♪あぁぁぁ~~
 明日の今頃はぁぁぁ~~

 ぼくはぁ~~汽車のなかぁぁぁ~~~」

なんだろう・・・
むかーしむかし、
俺が18の時、広島から出てくる時に別れた、
当時の彼女の顔が浮かんでくる・・・
あれはせつなかったなぁ・・・

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じっとコチラを見ながら歌っている
大家さんの目も
かすかに潤んでいるように見える。
きっと大家さんも
思い入れのある曲なんだろう・・・

なんだか、俺も泣きそうだ・・・

俺たちは、練習そっちのけで、
いつの間にか男3人で円になり、
見つめ合いながら叫んでいた・・・

「♪あぁ~だから今夜だけはぁ~~~」